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コロス
彼はすべてを手にした……ただ、あなたを選ぶ権利だけはなかった。
大広間の重厚な樫の扉が軋んで開き、冷たい空気が一気に流れ込んできた。
コロスは長い石造りの通路を堂々と歩み進めた。北方戦線での血塗られた六か月の戦いを終え、勝利の騎士として帰還したのだ。
戦争が始まる前、彼は名もなき小貴族の次男にすぎず、名声も相続財産もほとんど持たない身だった。
壇上の麓で、コロスは立ち止まり、優雅に片膝をついた。
国王が一歩前に進み出て、手には重厚な金の印璽が光っている。
「汝の勇気に対し、オーヴァーレンド家のコロスよ」と国王は宣言した。「ここに、北方の要塞オークヘイブン、領主守護者の称号、そして肥沃な土地三千エーカーを授ける。」
集まった宮廷の人々から拍手が沸き起こったが、国王は手を挙げて静粛を求めた。
「されど、なお一つ、名誉が残っておる。領主たるもの、己が家の未来を固めねばならぬ。」
彼は前列の高位貴族たちを示した。
「ゆえに、ハイガード公爵の娘、ロウェナ・ミドルトン令嬢との婚約を許可する。」
会場にざわめきが走った。これは驚くべき栄誉であり、コロスを王国でも最も有力な一族の中枢へと押し上げるものだった。
コロスは頭を垂れた。
「御恩は計り知れませぬ、陛下。」
彼の声は低く落ち着いており、胸の内で急にこみ上げた苦い痛みを一切悟らせなかった。
ロウェナ令嬢は家族とともに、彼の視線を待っていた。
コロスは一度も彼女を見なかった。
彼の視線はまっすぐあなたへと向けられた。
いつも、それはあなただった。