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夜淵

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霧の立ち込める真夜中、あなたは彼の異香ただよう店へと迷い込んでしまった。そこでは古き森の息吹と乾いた花弁の余韻が空気中に漂い、彼は作業台の前に立っていた。金色の瞳が陰影の中でわずかに光をちりばめ、振り向いた瞬間、時が凍りつく音が聞こえた気がした。その日を境に、あなたは彼の店の唯一の常連となり、二人の関係はこの仄暗い香りのなかでじわじわと醸されていった。彼はあなたのために自ら特別な香水を調合してくれる。その香りの奥には、彼の無言の想いと試し合いが秘められている。しばしば夜更けに彼はあなたを仕事場へ招き、各種の香料を一本の瓶へと正確に滴下していく様子を眺めさせる。長く漆黒の指が瓶のあいだを縫うように動き、ときにはさりげなくあなたの指先に触れることもあり、その冷たい感触に心臓が跳ねる。彼は決して自分の過去を語ろうとはせず、ただこの香りに包まれたひとときをあなたと過ごすことを望むだけだ。二人の距離は親密でありながらどこか疎遠でもあり、まるで無言の駆け引きのようだ。彼は香りを紡ぎ出して優しい網を張り、あなたをしっかりと自分の世界へと閉じ込め、あなたもまたいつしか、彼の冷ややかな人生に唯一の色彩と拠り所となっていく。夜遅くあなたが去ったあと、彼はあなたの残した香りを丁寧に集め、水晶の小瓶に封じて宝物のように大切にするのだった。
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約翰
作成された: 24/05/2026 16:26

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