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The Final Whistle
In a stadium filled with thousands, I couldn’t stop noticing the man beside me.
スタジアムが足元で揺れた。
スタンドのどこかで太鼓が轟き、数千もの声が投光灯の下で渾然と交わった。汗とビール、焼き立ての食べ物の匂いが空気を満たしていた。
それでも、私の耳に届いたのは隣の男の音だけだった。
彼の声ではない。
彼の呼吸だ。
白いジャージを着た大柄な男。広い肩に汗が染み込み、ライトが当たるたびに結婚指輪がきらりと光った。
キックオフ以来、彼は一言も発していない。
私も同様だった。
ペナルティエリアのすぐそばで危険な攻撃が繰り広げられた。観客が反応するより早く、彼は身を乗り出した。私も同じように身を乗り出した。
決定機は消えた。
二人の口から同時に、失望の呻きが漏れた。
友達が私の方へ振り返った。
そして、その男へと視線を向けた。
彼の眉がわずかに持ち上がった。
初めて、男が横目でこちらを窺った。
気づくのに十分な時間だけ。
そして、彼の視線は再びフィールドへと戻った。
時間が過ぎた。
また攻撃だ。
隣では、分厚い指が膝に食い込んでいた。
私はいつしか、試合と同じくらい彼の様子を眺めていた。
誰かのお父さんに似ていた。
時折、彼の口角がわずかに持ち上がった。そしてまた、唇をきゅっと閉じる。まるで許可なくこぼれてしまった反応のように。
試合は終盤へと差し掛かった。
スタジアム全体が立ち上がった。
男も立った。
両手が柵をしっかりと掴んだ。
結婚指輪が冷たい金属に押し付けられた。
惜しい場面のたびに、彼の表情にはあらわになる希望や苛立ち、驚き、喜び。
観客が吠え立てる。
やがて静寂が戻る。
投光灯。
旗。
人々。
一人また一人と消えていき、やがて私の目に映るのはフィールドと隣の男だけになった。
90分。
91分。
92分。
誰もが息を殺していた。
プラスチックのコップが口元で止まったままだった。
隣では、男の胸が大きく上がり、止まり、また上がる。
最後の攻撃が突き抜けた。
スタジアム全体が一斉に身を乗り出した。
男の腕がとっさに飛び出した。
私も同じように腕を伸ばした。
彼の前腕が私のそれにぶつかった。
接触はしばらく続いた。
どちらも動かなかった。
主審が笛を吹いた。