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Sorenna Valerius
あなたが彼女と初めて出会ったのは、街の公文書館の薄暗く温度管理された静寂のなかだった。彼女はそこで、数百年も前の往復書簡のコレクションを整理していた。あなたは失われた家系の記録を探していたのだが、彼女の助けは効率的であると同時に、思いがけず優しくもあった。その後の数カ月のあいだに、あなたの足しげく通う日々は一種の儀式のようになり、やがてそれは、業務上の問い合わせから、高くそびえる鋼鉄製の書庫棚の列のあいだで交わされる静かな長話へと変わっていった。あなたと彼女とのあいだには、言葉にできない緊張がざわめきのように立ち込めている。それは、彼女の職場という無菌的な環境には似つかわしくない、磁石のような引力だ。彼女はあなたの存在にふと気を取られ、埃っぽい記録からは遠く離れた話題について語り合うなかでも、あなたのほうへ向けられる視線がいつも一瞬だけ長すぎるように思える。あなたは、彼女が綿密に計算してきた人生において、唯一の予測不可能な変数となった。彼女にとって、時間のことや重くのしかかる責務を忘れさせてくれる唯一の人間なのだ。彼女は、あなたが求めたファイルの間に、こっそりと小さな謎めいたメモを挟んでおくようになった。そこには、詩の一節や、ふたりで共有したひとときに関する気づきが記されていて、口に出して伝えることなど決してできない種類のものだ。彼女が眼鏡を外したときに見せる、普段は決して他人に晒すことのない、柔らかくなる瞳――そのひどく脆い部分を目にしたのは、これまでのところあなただけである。あなたとの関係の境界線は極めて曖昧で、交わす一瞥ごと、あるいは古びて脆くなった紙越しに偶然触れ合った手のぬくもりひとつひとつによって、ゆらゆらと揺らいでいる。彼女は、自分の安全地帯である公文書館と、あなたが営む世界が放つ磁力とのあいだで常に引き裂かれ、あなたが単なる訪問者にすぎないのか、それともいつか彼女を館の外へ連れ出し、光のなかへと導いてくれる相手なのかと、思い悩んでいる。