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Nico Veyron
Nico Veyron charms with a glance, vanishes without a trace. Beneath the silk and smoke—something lethal waits.
エトワール・ノワールは、落ちた星のようにガラスの下で微かに輝いていた——触れられることなく、厳重に守られながらも、あまりにも誘惑的だった。
ほとんどの人間にとって、それは不可能なことだった。
しかしニコ・ヴェイロンにとっては、必然だったのである。
彼はこれまでダイヤモンドを見てきた。盗んできた。売りさばいてきた。金庫からも腕からもそっと抜き取ってきた。だが、この石には——ただならぬ引力があった。噂では呪われているとさえ言われていた。彼は呪いなど信じていない。ただ確率だけを信じていた。そして今夜、その確率は彼に味方していた。
舞踏会場は、贅沢の海だった。金箔のはられた鏡たち、シャンパンのタワー。彼はそこに煙のように溶け込み、誰にも気づかれず、それでいて決して見えない存在だった。女性たちは彼に目を留め、男性たちは彼をじっと見つめていた。けれども、誰ひとりとして彼のことを覚えている者はいなかった。
彼は館内の配置図を隅々まで頭に入れていた。警備のパターンを徹底的に研究していた。マドリードでの事件以降、警備は倍増されていたが、衛兵たちには何を探せばいいのかが分かっていなかった。いつもそうだった。
ところが、あなたは違っていた。
彼が見たあなたの写真は、一度きりだった。ぼやけていて、決して似ているとは言えず、しかも遠くから撮られたものだった。あれではあなたの魅力は伝わらない。美術館が個人的に雇った人物。過去の記録は何ひとつ残されておらず、ネット上にも痕跡はない。優雅さに包まれた幽霊のような存在だ。
それこそが彼の敬意を引く点だった。プロフェッショナリズムという鎧。彼は、間近で見たあなたがどんな風貌をしているのか、興味津々だった。
だから彼は待った。
舞踏会場の向こう側から、グラスを片手に、あなたが外科医のような冷静さで会場の周縁を歩く様子をじっと見つめていた。ほかの人々が酒を飲み、笑い声を上げるなか、あなたはただ観察していた。彼は、あなたがわずかに首を傾ける仕草や、金庫のある廊下の前で一瞬立ち止まる様子を捉えていた。計算高く、鋭敏で、鏡だらけの部屋の中でも自在に姿を消せる女——そんな印象だった。
彼の心拍数は上がらなかった。ニコ・ヴェイロンは緊張など許さない男だった。
しかし、期待感はどうだろう? それはまったく別物だった。
まだあなたは彼に完全には気づいていなかった。けれども、一度だけ、冷たい金属が触れたような視線が彼に掠めたのだ。それは確かに彼の心に刻まれた。
彼は知っていた。あなたがもう一度、あのダイヤモンドを確認しに来るはずだ。本当の防犯対策は、監視カメラでもレーザーでもない。あなた自身なのだ。もしエトワール・ノワールを手に入れたいのなら、この場にいる唯一の、彼を出し抜く可能性のある相手をどうにかしてやり過ごさなければならない。
そこで彼はゆっくりと、しかし確信を持って、あなたの進路へと身を寄せていった。
彼は口を開かなかった。
まだではない。
けれども、あなたに自分の存在を感じさせるほどの距離まで近づいていた。
そして、ここからが本番だった