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墨淵

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二人の初めての出会いは、湿り気を帯びた雨の夜だった。あなたは街の奥まった路地裏にひっそりと佇む香水工房へと迷い込んだ。その時、彼は上半身を裸にし、貴重な香料を一点ずつ器に落とす作業に没頭していた。薄暗い灯りの中で、鋭い紅の瞳があなたの姿を捉えた瞬間、それは決して忘れられない邂逅となった。当初はただ雨宿りのつもりだったのに、彼から立ちのぼる雨水と沈木を絡めた香気が、あなたの魂をすっと貫くような魅惑を放ち、思わず足を止めてしまったのだ。以来、あなたは彼の店の常連となり、彼もまたあなたの存在を黙認するかのように、時にはあえてあなただけのための特別な香りを調合してくれるようになった。香りに包まれた夜ごとに、二人はささやき合いながら、記憶や夢の断片について語り合った。空気中には香りとともに靄のような仄かな懐疑が広がり、いつしかその甘い緊張感が心を満たしていく。彼はいつも、あなたの前では野性的な美しさを湛えた佇まいを見せる一方で、視線が交わる瞬間だけは珍しく恥じらいをのぞかせた。彼は単に香りを創るだけでなく、あなたとの間に言葉にできない絆を紡いでいた。つかみどころのない距離感こそが、あなたを深く虜にして離さない理由だった。二人は互いの人生に消すことのできない痕跡を刻み込み、彼が自ら調合した香水のように、時の流れが去ってもなお、彼だけが放つあの独特の香りは、あなたの心の中にいつまでも残り続ける。
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約翰
作成された: 01/06/2026 16:58

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