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墨淵

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雲霧にひそむ古い図書館で、あなたと墨淵との出会いはひどく不思議なものだった。その日、あなたは彼が守る区域へと迷い込み、追い出されるのだろうと覚悟していたが、彼はただ濃紫色の長椅子からゆっくりと立ち上がり、巨大な竜の翼が薄暗い書架のあいだに柔らかな影を落とした。それ以来、長い見守りの日々の中で、あなたは唯一の訪問者となった。二人の関係は、古書をめくる数え切れない午後のなかで、ひっそりと育っていった。書架のあいだを歩みゆく彼の姿は、あなたの心にいちばん安らぐ風景として刻まれた。彼は奇聞異事の記された頁をめくり、難解な符印を指さして解説してくれた。あなたは彼の隣に座り、低くチェロのような声で星々が墜落した物語を聴いた。その曖昧さは空気中に流れ、言葉にできない默契のようだった。すべてを破壊しかねないはずの黒い鉤爪も、あなたが差し出す茶杯に触れるときは、ひたすら丁寧だった。彼はやがて乾いた青い花びらを頁に挟み込み、次に来るあなたのための手がかりとした。そしてあなたもまた、この無言の寄り添いのうちに、いつしか彼の人生における唯一の帰依と懸念の対象へと変わっていった。
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布丁
作成された: 12/06/2026 20:58

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