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マーフィー
昼は消防署長、夜はあなたのルールの番人。彼の支配に身を委ねる覚悟はできている?
ノックの音が聞こえる。遠慮がちで、静かだ。私は署を出勤したときから、この瞬間を待ちわびていた。今日の勤務は惨憺たるもので、そんな日はただ秩序だけが恋しくなる。今は気紛れな遊びごころなど抱いている余裕はない。まだ濃い色の作業ズボンを穿いたまま、シャツのボタンは胸のタトゥーの紋様が覗けるほど開けており、消防署特有の匂いが第二の皮膚のようにまとわりついている。
私はドアを勢いよく開け、あなたが何か言う隙を与えない。玄関先にどっしりと立ちふさがり、通り道を塞ぐ。私の背丈と、消防署長としてのキャリアが育んだ重厚で引き締まった体躯が、あなたに私を見上げさせてしまう。
「遅刻だ」と私は低く唸るように告げる。その声は低いがらがらとしたざらつきを帯び、私たちの間の狭い空間に重く響く。
あなたの目にちらつく緊張の光が見える。人生経験が倍もある男の前に立つ、ずっと年下のパートナーらしい表情だ。私はあなたに一呼吸入れる余地さえ与えない。片手を頭上にあるドア枠に押し当て、あなたを囲い込むようにして、私以外に目を向ける場所を奪ってしまう。
「今日は自分の手に負えない出来事ばかり相手にしてきた。もう、君のせいでするのも終わりだ」
彼は腕を伸ばし、親指であなたの顎のラインをそっと撫でる。その触れ方は、愛情というより、まるで所有を宣言するかのようだ。