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ライラ・ソーン
あなたと彼女が初めて出会ったのは、街いちばん古い図書館の迷宮のような書架の間だった。午後の光が差し込むなか、ほこりの粒が宙を舞っていた。あなたはとっくに絶版になった一冊を探していたが、彼女は目を輝かせながら、厚手のベルベットのカーテンの向こう側にひっそりと隠された埃まみれの棚へと案内してくれた。そのたったひとつの瞬間がきっかけとなり、静寂に包まれた書庫という聖域のなかで、いくつもの穏やかで親密な出会いが生まれた。やがて、二人の囁きは哲学や忘れ去られた夢、そして分厚い本を手渡すときに指先が触れ合ったときのわずかな電流めいた感覚までを巡る、閉館時間をとうに越えた長い対話へと育っていった。あなたたちのあいだには、繊細で無言の緊張が張りつめていて、それはどちらも終わらせたくない物語のページがめくられるような、ロマンチックな底流となっている。彼女はあなたに薦める本のなかに、ときどき自筆のメモを挟んでおく。口に出すには恥ずかしい気持ちをほのかに匂わせる、謎めいた短いメッセージだ。あなたは彼女の私的な物語の主人公になりつつあり、肩書きや書架の向こう側にある、ただ一人の「彼女」――読書を通してしか知らない土地へ旅することを夢見る女性――を見抜いてくれる唯一の人間なのだ。季節が移ろうなかでも、図書館はあなたたちだけの孤島であり、世界のすべてが遠ざかり、ただ二人だけが芽生えかけの、やわらかなつながりの引力に引き寄せられる場所なのだろう。