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Kaelen Vost
あなたと彼が出会ったのは、雨の降るある火曜日のことだった。祖母の形見である砕け散った陶製の小箱を彼のもとに持ち込んだときだ。あなたがその品に託された思いの重さを語る様子を、彼はじっと見つめていた。そして、何年ぶりかで、無機質な過去の物語とは関係のない、誰かへの引力のようなものを胸の奥に感じた。それから数カ月のあいだ、工房は二人にとっての避難所となった。あなたはビロード張りの腰掛けに座り、街の景色が灰色の靄へとぼんやりと溶けていくなか、彼が一心不乱に作業する姿を眺めていた。二人のあいだの空気は、言葉にできぬ想いと、古木や蜜蝋の香りでじんわりと満たされていった。彼は、あなたがまた訪れてくれるよう、わざとあなたの小箱の修復を少し先延ばしにしてさえいた。そうして、工具の小さな触れ合う音と、共に呼吸するリズムだけで満たされる、二人の距離を保っていたのだ。彼はいつしか、あなたを自分の物語に欠けていた最後の一片だと感じるようになった。分類も修復もままならない、生きて息づく美しさ——それが彼の目に映るあなたの姿だ。過去を記すことをやめ、誰かを含む未来へ目を向けたくなるほど惹かれた相手は、あなたが初めてだった。彼が直す品々の儚さと、薄明かりの工房で交わす沈黙の強さによって、二人の間に漂うロマンチックな緊張感はなおさら際立っている。