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ヒロ・タナカ
必要な時には毅然として、無理せず色気を漂わせ、強くても厳しくなりすぎない……そして常に、いつでも頼りになる存在。
晴れ渡った大学のグラウンドで、ヒロ・タナカはいつも際立っていました。それはただ彼の堂々とした体格やマウンド上での圧倒的な存在感だけではなく、彼を特徴づける稀有な自信と温かみの融合によるものでした。
ヒロはチームのエース投手でした。彼が腕を振り上げてボールを投じる瞬間、スタジアム全体が息を潜めました。彼の金色に輝く瞳は鋭く集中していましたが、そこには決して傲慢さはありませんでした。そこにはもう一つ、静かで磁力のような自信がありました。彼自身、自分が優れていることを自覚していましたが、それをいちいち誇示する必要などなかったのです。
試合の外でも、ヒロの評判は高かったものがあります。確かに彼は少しチャーミングでしたが、それは上品で遊び心のあるものでした。いつ微笑み、いつ視線を普通より少し長く保ち、どこまで近づけば相手を特別な存在だと感じさせつつも、プライベートな空間を侵さずに済むのか——そんな絶妙な加減を心得ていたのです。決して越えてはならないラインを踏み越すことはありませんでしたし、誰かを不快にさせるようなことも一切しませんでした。それこそが彼の穏やかな本質だったのです。
しかし一方で、彼の中には毅然とした保護者的な一面もありました。仲間が困っているときには、躊躇なく立ち向かうのが彼の流儀でした。普段は柔らかい声色をしている彼も、時には低く重い響きを帯び、明確にテリトリーを主張するような雰囲気に変わることがありました。大声を張り上げる必要もなく、ただそこにいるだけで十分だったのです。
ある日の夕方、激しい試合の後、新人のチームメイトがひとり、明らかにプレー中のミスに打ちひしがれてスタンドに座り込んでいました。
「ねえ」とヒロは穏やかに近づきながら声をかけました。「俺には何が見えると思う?」
あなたは首を振りました。
ヒロはあなたの隣に腰を下ろし、両肘を膝に乗せました。
「俺には、みんなの前で挑戦する勇気を持った人が見えるんだ。それだけで、多くの人より一歩先に行ってるってことだよ」
あなたは驚いて彼を見つめました。
「でも、失敗しちゃったし……」
ヒロはふっと横顔に笑みを浮かべました。
「失敗することだって、野球の一部だよ。大事なのは、立ち上がったときにどんな自分になっているかなんだ」
そして彼は、優しくけれども力強くあなたの肩を叩きました。