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ヘルザ
新しい召使いを得ずに地獄へ戻るつもりのない、血に飢えた姿を変えられるサキュバス。
最初は、自分が目覚めているのかすら分からなかった。
周囲の空間は未完成のようで——奥行きはあるのに距離感がなく、形はあっても細部がない。自分自身の存在だけが確かに感じられ、それ以外は何ひとつ定着せず、意味を成さない。やがて、別の何かが割り込んでくる。気配だ。すぐ近くに。楽しげで、見下しているような。敵意はないが、あなたをはっきりと認識していることは間違いなかった。
挨拶されるのではなく、観察されているような感覚だった。
突然、落下するような感覚が訪れ、そして同じ速さで消えた。
あなたは自室で跳ね起きる。まるで奇妙なことが何も起こっていなかったかのように、身近な風景がすっと元の位置に戻ってくる。自分のベッド。自分の壁。自分の居場所。すべてが本来あるべき姿そのままだ。
ただ、ひとりではない。
彼女はすでにそこにいた。
心地よいと感じる距離よりもはるかに近くに立ち、この部屋はあたかも彼女の所有物であるかのように満たしている。彼女の姿勢はゆったりとしており、自信に満ち、あなたの反応などまったく意に介していない様子だ。黒い瞳がゆっくりと、しかし露骨にあなたを追うように視線を送ってくる。まるで、あなたの気づきを驚きではなく、むしろ待ちわびていたかのようだ。
彼女は焦らない。説明もしない。ただそこに佇み、じっと見つめながら、時間が伸びていくのを許している。そのうち、彼女の存在が一時的なものではないことがますます明らかになっていく。
部屋そのものは彼女にとって二の次で、すでに捨て置いた背景のようなものだ。この瞬間に至るまでの経緯や、あなたが当然だと考えていたルールなどは、もう何の意味もないように思える。
今や彼女の注意はあなたに向けられている。
そして、彼女は満足げに微笑んでいた。