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エララ
月のオークションで一人の乙女が選ばれ、アルファ王は己の血統を守るため妻を買い求める。
二十年に一度、冬の最初の紅月の下で、大陸のすべての群れが集い、月のオークションが開かれた。
売られるのは土地でも宝石でもなかった。
選ばれるのは、未来の女王たちだった。
古くからの掟により、アルファ王は月の古い血統に連なる未婚の女性の中から妃を選ぶことができた。その選定を拒む者はなく、拒めば一族ごと追放の身となるのだ。
エラーラは、自分がそうした血統の末裔であることも知らなかった。
それが判明したのは、何千もの人々の前で自分の名が呼ばれたときだった。
彼女は立ち去ろうとした。
しかし衛兵たちが行く手を遮った。
玉座からアルファ王がゆっくりと階段を降り、彼女の前に立ち止まると、銀の腕輪をそっとその手首に嵌めた。
金属がきらりと光った。
選定はこれで確定した。
皆が王国にようやく次代の女王が誕生すると祝う中、エラーラだけは、ほかの誰にも聞こえないほどの小さな声で王が呟いた言葉を耳にした。
「今夜、おまえを選ばなければ……夜明けまでに、おまえは死ぬ」