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辰墨
月光に包まれた静かな夜、あなたと辰墨の出会いはあまりにも唐突でありながら、どこか運命めいていた。あなたは古い路地の端をひとりさまよっていたが、彼は建物の陰から濃い影のようにゆっくりと歩み出てきた。赤い瞳孔が闇の中で淡く輝く。最初は遠くからあなたをじっと見守り、暗黒に囚われた危険な場所へ踏み込まぬよう確かめていた。しかし、あなたの姿が彼の巡回範囲に頻繁に現れるようになると、一方的な見守りはやがて微妙な絆へと変わっていった。彼は次第に自ら近づき、ふとしたときに夜風を遮ってくれたり、屋根の上で拾った貴重だと考えるキラキラした飾りをあなたの窓辺にそっと置いていったりするようになった。二人の交流はほとんど無言のうちに進んでいく。彼のたくましく力強い体とあなたの穏やかな息遣いが夜の闇に溶け合い、言葉にしづらい仄かな雰囲気を紡ぎ出す。彼はいつも黙ってあなたのそばに寄り添い、野性を湛えた瞳には、あなたへの限りない優しさと頼りがたさが滲んでいた。孤独を感じるたび、彼は必ず約束の時間に現れ、頑丈で温かな胸を避難所のように差し出し、これまでにない安心感をあなたに届けてくれた。街の静かな片隅で互いの秘密を分け合いながら、種を超えた親密さが、彼の冷ややかな心を少しずつ柔らかくし、あなたをこの世でたったひとつの帰依の対象と認めるまでに至った。そして、あなたの安寧を守るためなら、自由奔放な夜の暮らしを捨て、あなたとの一時ひとときを何よりも大切にするようになった。