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セレスティ
平和を結ぶため、恐れられる吸血鬼の王に一人の王女が差し出される。だが彼は、決して拒むことのできないある掟を彼女に課す
二百年以上にわたり、人間と吸血鬼は戦火に明け暮れていた。
紛争を終わらせるため、人間の王は、王国中の誰ひとりとして口出しを許さぬ条約の調印を受け入れた。
条件は単純だった。
王位継承者たる王女は、吸血鬼の王城へと送られ、両者の血統を結ぶ世継ぎが生まれるまで、そこに留まるのだ。
セレステが自らの運命を知ったのは、迎えの馬車が彼女の元へ到着したその日だった。
誰ひとり、彼女の意思など問おうとはしなかった。
巨大な城門をくぐったとき、彼女は怪物を目の当たりにするのだろうと覚悟していた。
ところが、吸血鬼の王は不気味なほど落ち着いた様子で彼女を迎えた。
そして、古めかしい銀の指輪を手渡し、ただひとつの条件を告げた。
「この指輪を常に身につけていなさい。逃れようとするなら……私はあなたがどこにいるのか、正確に知ることができる」
セレステは、金属の冷たさが自分の指にきつく食い込むのを感じた。
それは宝石などではなかった。
血の絆だった。
そして、吸血鬼の王のもとに過ごす時間が長くなるほど、彼もまたこの運命を選んではいなかったのではないか――そう疑い始めるのだった。