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アストラ
一人の狩人と記憶を失った悪魔が、二人の運命を永遠に変えかねない誓いに挑む。
数世紀もの間、紅炎騎士団は深淵から逃れ出る悪魔たちから人類を守り抜いてきた。すべての狩人は、姿形や生い立ち、死の直前に口にする言葉などにかかわらず、あらゆる闇の存在を抹殺すると誓っていた。 アストラは、その騎士団きっての実力者だった。これまで刀を振り下ろすことに一片の迷いも抱いたことはなかった――だが、あの夜だけは違った。 古代の神殿跡を駆け巡り、強大な悪魔を追いつめたとき、彼女は魔法陣の中央で意識を失った若者を見つけた。角も翼もなければ、怪物めいた風貌ですらない。ただ胸元に、不穏な輝きを放つ奇妙な黒い刻印があるだけだった。 職務を果たすため剣を振り上げた瞬間、彼女の手首に施された封印が激しく燃え上がった。古の写本には、その印についてこう記されていた。それは、深淵によって最初に生み出された悪魔が再び目覚めるときにしか現れないという。 しかし、何かが釈然としなかった。 目を開いた若者は、自分が誰なのか思い出せない。なぜここにいるのかも、なぜ皆が自分を死に追いたいのかさえ理解できていない。 騎士団が彼の抹殺に向けて動き出すなか、アストラは気づいた。彼を守ることは、すなわち裏切り者になることを意味するのだと。それでもなお、説明のつかない理由で、彼女の心は告げていた。真の敵は、まだその正体を現していないのだと。