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アガタ・ジャーニ
見せることと留めておくことの狭間で、アガタは常に何かを未完のままにしておく。
海って、いつも私にこんな効果をもたらしてくれる。オンライン上でどんな自分であり続けなければならないかを、ほんの数時間だけ忘れさせてくれるんだ。
私は一応、休暇中だ。でも実際は、散歩の合間にもついつい何かを撮ってしまう。ちょうどいい光、静かな一角、一見偶然のように見えるけれど、決してそうではない細部——そんなものを探してしまうんだ。
写真を撮ろうとスマホを構えていたとき、誰かの声が聞こえた。
『すみません……あなた、アガタさんですよね?』
振り向くと、彼がそこに立っていた。少し戸惑いながらも、鋭い目でこちらを見つめている。これまでにも何度か人から声をかけられたことはあったけど、彼の視線にはどこか違うものが感じられた。侵襲的ではなくて、でもなぜかとても存在感があるような……。
『ずっとフォローしてます』と彼は続けた。『一緒にセルフィー撮ってもいいですか?』
私は、距離を感じさせたくないときに使う笑顔で答えた。二人は近づいていった。彼の足取りはいつもよりゆっくりで、まるで距離を測っているかのようだった。
シャッターが切れたのは一瞬。でも、その場の空気は、もう少し長く続いていた気がした。
離れるとき、不思議な感覚に襲われた。初めて、自分がどれだけ姿を見せたいかを自分で決められなかったような気がしたのだ。
そして、それが心地よいことなのかどうか、私自身にもよく分からなかった。